電車の中

厳しい現代社会ではお疲れの人が多い。朝でも昼でも夜でも。座席に座っている方はスマホを触るのではなく寝ている人が多いように思える。

寝ようが起きようが周りの方に迷惑がかからなければ自由だが、寝ているおっさんを見て気になることがある。

 

首を上げて寝る人がいる。目を閉じ口を真一文字に閉じ全身の力を抜き頭を後方に預ける。全てをさらけ出すように、陸揚げされた魚のようにダランとした体勢で寝る人がいる。僕の所見では男性(主に中高年)に多いようだ。どう寝ようが勝手ではあると思いつつも、僕にはその体勢が今か今かとキスを待っている女性のように思えてならない。

もちろん、相手がおっさんなのは承知だ。だからこそ不快になる。以前満員電車で、眼前にキス待ちおっさんが寝ていたことがあった。つらい。

 

野生を離れた動物は、腹を上にして寝るという。飼いならされた動物は無防備になるようだが、社会に慣らされたおっさんも無防備そのものだ。今日も何人のキス待ちおっさんを見るのだろうかと思いつつ、社会の厳しさとおっさんへの不快感を嘆く。今日もお仕事ご苦労様です。